水晶発電メモ2

水晶玉の共振とトロイダルコイル

前にも申しましたようにトロイダルコアーに打ち消しコイルを巻いて電流を流してもコアーに磁束が流れませんから何の意味も無いと思われます。しかし複素逆電磁的な立場からは意味があり、あちら側から水晶玉を刺激反応させることができると思うのです。いろいろと試した結果、効果の出た最初のコイルを説明します。同軸線への給電はコアーに巻いたコイルでします。同軸線の外皮線と中心線はインダクタンスが少し違うのでこれで電流が流れます。コアーはアミドン社の外径20ミリの10材 T-80で黒色のものです。このコアーに藤倉電線の0,8D2QEV同軸ケーブルを左巻きに一層巻けるだけ巻いて片側を50オームで終端します。別にコアにワンターンコイルを捲いて給電しました。この同軸ケーブルに高周波電流が流れても打ち消しあうのでコアーに磁界は発生しませんが、50オームで終端すれば電磁エネルギーはケーブル内を一方向に流れるので何らかの回転エネルギーが生ずると思ったのです。前述の通り同軸ケーブルの心線と外皮線のインピーダンスは少し違うので誘起電圧に違いがあり電流が流れます。この電流によるコア内の回転エネルギーが玉に伝われば何らかの刺激を与えるのではないかと思いこの構造を試してみました。右巻きでなく左巻きに巻いたときに効果が出ました。理由は逆電磁界のポインティングベクトルの法則に左巻きコイルに流れる電流の虚数成分がマッチするからだと思います。このコアの中心の近くに玉を置いて刺激を与えたいのですがキャビティのなかにはコアを入れられぬので玉に接着してある5ミリ径のグラスファイバー製(それまでは、軸棒はグラスファイバーでした)の軸棒をカーボングラファイトに変えてこれをコアの中心に通して20㍉くらい玉から離れた位置(キャビティの上部)にセットしてみました。カーボンの軸棒と玉のコーティングしてあるグラファイト膜は電気的にもがるようにグラファイトで塗装しています。こうして、コアに捲いたワンターンコイルに高周波出力を給電しながらキャビティの共振周波数や位相を調節していると水晶玉が100MHz以上の共振周波数で反応し始め、独特の間欠振動現象がオシロスコープに現れ始めました。私はこれを予振現象と名付けました。この振動には前から述べている打ち消し合いのパワー発生振動パターンばかりでなく、関係ない振動も含まれています。平成16年2004年正月に成功したときはうまくパワーモードで動作しました。しかし、その後、同じ現象が起こらず2005年についに病気でダウンしてしまい実験が中断してしまったわけです。6月退院して間もなくサイ科学会の小林泰樹氏より10月の全国大会に何か発表しないかとのお誘いを受けました。地球はエネルギー問題で追い詰められています。私がこの技術の実用化に失敗した場合、水晶が無限のエネルギーの宝庫であることを、世の中に伝えて置きたい気持ちからお引き受けして「水晶玉より強力電波エネルギー発生」の原稿を書きましたことは冒頭にも述べたとおりです。しかし、この水晶発電メモを書いているうちに重大なことに気づきました。S字共振は宇宙の無限のパワーを引き出すことが出来る水晶玉の共振状態と言えると思います。通常の水晶発振器はその増幅器の電気的条件が水晶と合うと水晶振動子が自己共振周波数で持続共振振動にはいるのですが、最初は電気的雑音が水晶を刺激して共振周波数に引っ込むきっかけを作ると考えられます。S字共振現象も水晶玉の持つ共振周波数の振動状態に引っ込む発振器を作ることが出来ぬかと思い始めたのです。以前、試みたが難しくて諦めたことを前述しましたが、そのときは、まだ打ち消しトロイダルコイルの研究が出来ていませんでした。試作したこのコイルは前述のように一種の雑音発生装置でしかも逆電磁的左ネジの雑音を発生するらしいのです。何度も述べたようにグラファイトでコートしてしまった玉は、通常、高周波をかけても共振反応を示しません。従って、ふつうの電磁的雑音を加えても発振するきっかけつくることは無理です。しかし、逆電磁的雑音を加えれば玉があちら側より刺激され反応を始める筈です。それで、グラファイトコートした玉を中心に置いた十字キャビティ自体を発振回路にして、同時に打ち消し巻きトロイダルコイルの逆電磁雑音を加えて玉をあちら側から刺激すれば玉の共振周波数に発振周波数が引き込まれるだろうという構想です。これこそS字共振のスターターです。今までの長い時間はこの終着駅にたどりつくための通り道だったのだと思ったのです。image048-thumbnail2image046-thumbnail2しかし、玉が共振しS字共振に発展すれば発振回路のトランジスターはS字共振の高い電圧のために破壊される恐れがあります。その対策も考えなくてはなりません。最初にS字共振に成功したときは、十字キャビティ位相調節のための入力は向かい合った対向キャビティ(2)(4)系の2箇所のワンターン回路に同相電圧を入れて居ましたが、最後の、2004年正月に成功したときは水晶玉を挟んでいるキャビティ(2)、(4)の中心導体電極の向かい合った先端近くのアルミ円盤上に、上の写真にも示すように、BNCのJPJコネクターを利用して改造し、2個の導体電極を繋ぎ、両キャビティの中心導体の先端に一箇所から容量的に入力していました。この装置をCCF「Central Capacitive Feeder」と仮称します。ここを入力回路とする発振のための増幅回路を作りました。基本的にはハートレイ乃至反結合発振回路の変形のつもりで出発しました。 発振器の入力はこのCCF導体電極より高圧保護回路を通してはいり増幅します。
ところが、実際に実験してみると、当然ですが、水晶発振器にならず、発振の周波数はキャビティに支配されてしまい時々玉と瞬間的に反応はするのですが単なるLC発振器です。この増幅器を用いてなんとか水晶玉発振器を作ろうと1年以上の試行錯誤の連続でした。

image050話しはすこし戻りますが、水晶玉の発振させるためにはキャビティ同士の結合を抑えることが大切と考えました。両系の結合係数を最小にするため、前述のようにシールド板が玉に当たるところを従来は直線でしたが、玉の円周に合わせて切り込みを作りました。そうして、上図に示すような回路(キャビティは中心電極のみであとは省略表示してあります)を構成しました。CCFから増幅器を通った信号は同軸ケーブルの長さを調節するストレッチャーで位相を調節し(1)と(3)のワンターンにCCFより90度ずれた位相で入力されるようにします。そして、信号が(1)(3)系によく伝達されるように1/4波長間隔に二つスタブを入れインピーダンスマッチング回路を(1)(3)系に入るところに構成しました。(1)(3)系からは(2)(4)系にシールド板のためわずかフィードバックされるので(1)(3)系の方が高いレベルで安定します。もしも水晶玉が発振状態になればシールド板があっても振動エネルギーは玉の中を通して働くので何か変化が起こるだろうと甘い期待をしましたが、前述のように瞬間的に時々玉が反応するだけで何も起こりません。この実験は、始めに目論んだとおり、玉の姿勢を保持するカーボンの軸棒に例の同軸線を捲いたRTC(reversal troidal coil)をとおして発振出力を分岐して加えていました。その作用で玉は時々反応するがLC発振の方が強く水晶玉発振器にはならないのです。 あるとき、増幅器を外して直結し、このRTCに無信号のキャビティの自然雑音だけ増幅し入力してみました。ところが、なにも信号を入れていないのに発振信号がスペアナに出ているのです。玉が勝手に振動を始めたらしいのです(これは、後で分かったのですがこれもキャビティの発振でごく狭い範囲で共振振動するので玉が発振したと思ったのです。そして、玉の共振周波数に引き込まれて時々反応します。これは、水晶玉発振の目的には失敗したわけですが水晶玉発振のため考えたインピーダンスマッチングケーブル回路を利用した(2)(4)系と(1)(3)系が結合回路のS字共振システムが出来上がったわけでした。

このシステムは、RTCによる発振ですからRSOと略称することにします。RTCで誘起されたRSOの周波数とその位相条件がS字共振、つまり、玉のパワーモードにフィットすると振動は90度の位相差で整合回路を通り(1)(3)系に伝わって玉のパワーが瞬間的に増大して非常時停止装置ESSが働きキャビティがショートされてS字共振が停止します。つまり、従来と違う新しいパワーの経路で、つまり、シールド板の間隙を通らないで起こるS字共振です。これが、何度も起きるようになりました。こう述べると、S字共振は何時でも自由に起こすことが出来ると思いますが、これが、非常に気まぐれなところがありそう簡単ではありません。余計なモードばかり出てパワーモードを自由には出せないのです。その原因はRTC(reversal troidal coil)が未完成のためと思います。また、非常時停止装置ESSが働くときの機械的振動で微妙にCCFの結合度が変わってしまう欠点があります。(2007,5月始め頃)。前述のRTCの構造は2004年正月の第3回目のS字共振成功のときの構造です。その後、実験を重ねるに従って改造しました。それについて説明します。現在は同軸線の長さが丁度1波長にしてあり50オームで終端していません。1波長にするとパワーモードのRSOが起こり易いらしくESSが作動します。使用する同軸ケーブルも外径約2ミリの0,8D2QEVではT80 のアミドンのコアには1/4波長も捲けないので、外径0,6ミリの極細の潤工社製ジュンフロン同軸線を用いてあります。ただ、完全にピタリと1波長にする調整が難しいこと、及び、そのコアに入力する最良の方法を検討してS字共振のモードが何時でも必ずでる点を求めているところです。また、この線はあまりにも細いので抵抗が高く従ってQが低くなってしまう欠点があります。1波長の0,8D2QEV線を用いても捲ききれない余った線を両側に出来るだけ均等に出した場合でもESSが作動したことが一度だけありますがやはり一波長捲くのが本命と思います。現在の十字キャビティは元々430 Mhz位の共振周波数を持っているのですが、それにキャパシティを付加して周波数を下げている関係で基本である430Mhz付近で発振する場合がありました。キャビティの雑音を増幅するプリアンプに広帯域アンプを使用していましたが、それを水晶玉発振のため作った同調増幅器に替えて解決しました。この同調増幅器を作るのにだいぶ努力をしましたが無駄にならず済みました。
image054 image052一方、キャビティ(2)、(4)同士のCCFによる結合を数値化することを試みました。それを説明します。各キャビティの端のところにBNCのBRコネクターを利用したワンターンがいくつもつけていますが、どのワンターンも寸法が同じです。従って、正確ではありませんが、傾向をつかむ規準になります。一つのワンターンAに一定のレベルのパワーを加えればそのキャビティがあるレベルで共振します。それは、ワンターンのキャビティへの結合力に比例する筈です。それを、同じキャビティに付けてある別のワンターンBの出力で評価出来るわけです。また一方、そのときのCCFへの出力はCCFのキャビティへの結合力に比例します。CCFと中心電極の先端との距離が近くなってキャパシティが大きくなるとワンターンAの結合力を超え、その差は10数dBまで達します。この差をほぼ12dBになるよう(2)、(4)とCCFの結合を揃えたときにこのRSOを発見したのですがずっと低いところでも発振します。

image058-thumbnail2 image056-thumbnail2 RTC(reversal troidal coil)に同軸線を丁度1波長捲くと書きましたが、それがピタリと1波長かどうかを確かめるのは難しいことです。計算では大体のことしか分かりません。両端ショートの場合その片方のショート端を小さなワンターンのループにすればその線は実質的に1波長より若干長くなりますが(実測するとケーブルで約2,5cm)、そのループを利用してその線の実質的長さを測る方法を工夫しました。そのループも2個のBNCのBRコネクターを利用した写真のようなワンターンカップリング(-19db)で、次の図のように結線します。そして、信号発生器の周波数を変化するとmax holdされたスペアナ画面に写真の様なカーブが描かれます。曲線のボトムの場所がパワーモードの周波数と一致したときESSが働きました。しかし、これをピタリと合わせるのは難しい問題ですが、可変長同軸管ストレッチャーを利用しました。

これがパワーモードの周波数とピタリと合うとS字共振が起こる確率が高くなり、パワーが発生しESSが何度も作動しました。しかし、何故かパワーモードはするりするりと避ける傾向があり不確実です。また、RTCによるRSOが始まってパワーが発生したとき、従来のESSは(3)番キャビティの中心導体をソレノイドコイルで機械的にショートしてS字共振を止めていましたが、そのときの機械的振動が微妙にCCFのバランスが狂わすので、振動が伝わらないように整合用のスタブをリレーで瞬間的に切断してインピーダンス整合を外してパワー発生を抑えることにしました。また、インピーダンスマッチングをとるため使用していたSWRメーターの進行波の感度が落ちてしまいその原因を調べるのに時間をとってしまいましたが、結局ESSが何度も働いたので桁違いに大きなパワーの進行波が瞬間的に(ミリセカンドオーダーと思う) SWRメーターを通り進行波を測るゲルマニウムダイオードが劣化したためとわかりました。現在は、調整段階でトロイダルコイルを使ったCM型の方式で測りあとは外してしまいます。
この方式だとらくに自作できます。また、ESSも作動レベルが調整できるよう改造しました。 image060ここで、書き忘れた大切なことを述べます。RSOはそれ自体弱い振動で、各十字キャビティをつなぐ炭素繊維が外れていても起こります。しかし、パワーのあるS字共振はこれが繋がっていないと起こりません。カーボン繊維を伝播するベクトルポテンシアルの伝わる速さは光速Cと同じと思います。現在(07)のかたちは、カーボン繊維は十字キャビティの回りを円形にぐるりと取り囲んでいます。この場合、CCFからパワーをうける(2)(4)は同相ですから玉から玉へ同相で帰りカーボンの合計の長さは一波長になり、途中(1)と(3)のカーボンシャフト端に接続されて帰る2回路にします。その場合(1)(3)も同相で同様ですから一波長のながさになるので仮に(1)の接続位置が決まれば(3)のそれは自然に決まります。右の図をみると(1)の接続位置は中央みたいに見えますが違います。その位置は次の条件になります。(1)(3)系のキャビティはシールド板のため弱いですが(2)(4)系と容量的に結合しているので90度進んだ位相です。従って、(2)より(1)に行くカーボンは90度進んだ位相の長さが必要で1/4波長あるいは5/4波長になりますが、1/4波長は短すぎて物理的に無理なので5/4波長が必要な長さになります。一波長を越える長さなので(2)より(3)(或いは(1))、(4)を通って5/4波長(カーボン繊維とキャビティ中心導体を貫くカーボン棒との合計)になる位置で(1)(或いは(3))に接続します。この繋ぎ方で(1)(3)系も(2)(4)系も2本ずつ一波長のカーボンの回路ができるわけです。1998年の最初の成功ときは夫々3/4波長になるように(1)(2)と(3)(4)を8の字型に繋いだかたちでした。色々の形式が考えられると思います。
システムの配線図を表示します。(07現在)image062-thumbnail2十字キャビティは省略して表示しています。カーボン繊維も同様です。RTCも斜めに倒して表示しました。

試験信号発生器SGより信号はRFパワーアンプとアイソレーターを通してCCFに入りキャビティ(2)(4)を励振します。また、同時にCM式反射電力計を通り位相調節のための可変長同軸管と1/4波長はなれたスタブ2本及び分配器を経て整合され(1)(3)を励振します。図ではこれも省略してありますが、従来キャビティ間の結合度をコントロールしたシールド板は結合度最小の状態で殆ど玉に触れようとする状態です。前述したように玉の円周に沿って切り込んでありキャビティ間の直接のエネルギーのやりとりは最小に抑えてあります。従って、このシステムでは(2)(4)系のパワーはこの整合回路を通して90度進んだ位相で(1)(3)系を励振し、S字共振に導くという構造です。この回路は前述したように増幅器を利用して玉を直接発振させようという試みからはじまったものです。
そのうち、キャビティの内部雑音をアンプに入れRTCに入力して玉を刺激しようとしました。

ところが、スペアナに新しい信号が発生したのです。これは水晶玉が発振したとおもいました。あとでわかったのですがこれは水晶玉の発振ではなく新しい形式の発振電波でした。この電波はスペアナからケーブルでキャビティのワンターンから繋いで見えるのは普通の信号と同じですが、そのケーブルをキャビティから外してもスペアナの像が消えないのです。それどころか外したケーブルの位置によっては却って大きい値を示すことすらあるのです。つまり、RTCで発生した電磁波雰囲気は同軸ケーブルのシールド材を貫通する力があり、また、グラファイトでコーティングした水晶玉を刺激して反応させる力もあるのです。この新電磁波雰囲気が水晶玉を共振反応させる力があることは2004年の三回目のS字共振の成功で知っていたので、このときは水晶玉が発振したのだと最初思ったのです。
出来上がった回路を考えてみればこの電波雰囲気で水晶玉が刺激された水晶玉の反応した周波数がパワー発生モードであればそのエネルギーを整合回路を通して(1)(3)系に伝えて更に玉を還流刺激してS字共振に導ける回路になっていた訳です。そして、その後、ESSが何度も働いたのでS字共振を何時でも発生できる方法がついに近づいたと思いました。それから、システムを使い易くするため操作パネルを改良するとか、RTCの改良、ESSの動作レベルを可変にすること、整合のための反射波の測定器など大分時間がかかりました。ところが、中々S字共振は発生しなくなってしまいました。色々の微妙な条件が揃わないと駄目なのですが、それは兎も角として、以下、このシステムの調整の仕方を説明します。
従来の方法(6年間で3回成功した方法)では、何度も述べましたがキャビティ間にあるシールド板を玉から数ミリ離した状態で各キャビティは互いに結合してエネルギーをやり取りし共振周波数や位相の調整もしていたのです。しかし、その調整は一つ動かせばキャビティ同士の干渉で全体に影響が強く極めて困難でした。新しいシステムでは中心電極間のこの結合を少なくする為、前述の通りシールド板の形状を球面に沿って削ってあるのですが、それでも互いに若干結合しています(約-25dbの電力結合度)。また、今までの経験から、S字共振はパワーモードの周波数が共振カーブの頂点か平らな点(ノンリアクティブ)にあるらしいこと、しかも、(2)と(4)自体のCCFによる結合度がエネルギーやり取り状態が最高の臨界結合であることが必要ではないかとおもわれます。その操作を簡略化する方法も考えました。標準信号SGを三角波もしくは鋸歯状波でFM変調すると、ほぼ、リアルタイムでキャビティの周波数特性がスペアナで見られます。この方法で打ち消し合いの位相を保持しながら上述のようにキャビティの周波数特性を調整します。この場合、(2)か(4)は双峰性、(1)または(3)は頂上が平らなクリティカル結合状態がよいとおもいます。一方、(1)(2)を見ているオシロスコープで(1)(3)系が(2)(4)系より90度進むように可変長同軸管で調整します。一方で、SGの出力を上げてRFアンプの出力を1ワット位にし、整合状態が進行波と反射波電力をクロスメーターで一瞬に見られるようにしてあります。この調整が終わってシステム図image064のスイッチを(2)に切り替えると、image066プリアンプに電源が入りESSの自然雑音が増幅されRTCの共振コイルでコアがエキサイトされるとキャビティに信号が発生します。予め、RTCの同軸線の一端にスタブをつけて長さを変化し同軸線の共振周波数をSGの周波数に合わせておきます。つまり、一λにします。その位置を共振から外したときにS字共振がはじまりESSが作動することが何度も起こりました。ESSが働くかどうかは、CCFの(2)と(4)のキャビティへの結合度とRTCにより誘起されたキャビティの信号電圧の位相関係が玉の振動姿態と近い状態にあり、しかも、S字共振の起こる周波数と一致することが大切なファクターらしいのです。この条件を探すためケーブルの長さの調節が必要でした。いきなり強い最高パワーがでると部品を痛めるおそれがあるので、低いパワーでS字共振が起こるように整合のスタブをずらして落とすわけです。それが出来てから、スイッチ1を(3)にしてCCFからケーブルで電球にパワーを入れる構想でした。スイッチ1が(2)のとき、SGのパワーがCCFに全く掛からなくなるとRSOがパワーモードに同期しにくくなる傾向があるので、別のスイッチ2でCCFへの回路にパワーが掛けてみられるようにもしてあります。その時のRFアンプの保護のためシリーズにアイソレーター(TDKヘキサレーター)が入れてあります。

反射波電力計と緊急停止装置ESSの回路図をつぎに表示してあります。

反射波電力計はCQ出版社のトロイダル・コア活用百科を参考にしたものです。 緊急停止システムESS回路のトロイダルコアも同じアミドン社の12材T50を使用し1次も2次も0,35ミリ線10回捲きです。可変抵抗の位置を変えてESSが働くレベルをコントロールします。図で書き忘れましたが3ボルトのマイナス側よりフォトモスリレーに行く線に100オーム位の抵抗が必要です。つぎに、現在(07,8)使用しているRTCの構造を説明します。RTCは下の左の写真のように、1波長より短い長さの潤工社製極細同軸線ジュンフロン線をアミドン社製10材のT80に巻いて基盤に固定してありあります。その両端末には長さを調節追加するため1,5D2V線にBNCPが接続されています(右の写真)。

image072-thumbnail2image070-thumbnail2image068-thumbnail2

また、コア励振用の線が4回巻かれています。中央の写真は十字キャビティの中央部でご覧のような真鍮製ホルダーが各キャビティの端に乗っています。
その中央の真鍮製のホルダーより小さく飛び出して見えるのが水晶玉に接着されたカーボンシャフト(ベクトルポテンシアルが通り、また、結晶軸が最適な方向を決める)です。その中央部にRTCの基盤が反転してはめこまれたのが右側の写真です。基盤上に見えるのは100pf程のミニバリコンで4回巻きの線にシリーズに接続され0,8D2QEVのケーブルを経てRFアンプに接続されています。繰り返しの説明になりますが、システム配線図でスイッチ1の(1)では試験信号はCCFに与えられると共にCM反射波計を通り可変長同軸管で位相を調節して1/4波長はなれてセットされたU字型の可変長同軸管ストレッチャーを通り、さらに分配器を経て(1)と(3)にCCFの位相より90度進んだ位相で印加されます。調整を終わり、スイッチ(2)に切り替えると試験信号はCCFに加えられずCCFに発生する自然雑音がプリアンプとRFアンプで増幅されRTCのコアをエキサイトし中心を通るベクトルポテンシアルがカーボン軸棒を通し水晶玉が刺激されます。RTCには両端ショートの一波長の同軸ケーブルが巻かれていますがこれに雑音が誘起されることになります。水晶玉の振動形式は平板の水晶と違ってモードがいろいろあり、そのうちの打ち消しあい振動のモードがパワーモードであることは何度も述べたとおりです。なにしろ、雑音で誘起され沢山の振動モードがあるので中々不安定な発振です。なにかの拍子にパワーモードに合致するのですが、そのためRTCに巻かれた両端ショートの同軸線が丁度パワーモードの一波長であると良いらしく、前述したように連続的に長さを調節可能にしたわけです。最高パワーがいきなり出ては無理な部品があるので出力を制限するため整合スタブをベスト点から外してもESSが作動する実験にも成功しました(07,5頃)。
ところで、従来、いつもS字共振(ESS作動)に成功した玉は左結晶のL2と名づけている一つの玉(直径10.89ミリ)ですが、9月24日カーボンの軸棒の接着が外れてしまいました。なにしろ、直径11ミリという小さい玉なので完全に同じ位置に再接着するのが難しい作業です。不安がありますが何とか修復作業は終えました。この際、コートしてあるグラファイトを調べたら大分剥げてしまっていました。ところが、じつは借りていた実験室が建て替えになり3年まえに引越しを余儀なくされ、現在は自宅の狭い部屋なので、塗装の資材などが遠いトランクルームに預けてあり、手元になく、その為別の玉に切り替えざるをえなくなってしまったのです。4、5月頃盛んにESSが働いてS字共振が容易に起こったのに、最近、何故か起こらなくなってしまったので不思議に思っていたのですが、グラファイトコートがひどく剥げてしまい方向によって抵抗が殆ど無限大になってしまったのが原因だったかもしれません。L2の玉ではSGを114,1MHzにセットするとパワーモードで時々ESSが働いたのですが、新しい玉(L7)ではなかなかESSが働きません。L2の場合は前述の共振周波数測定器で測ったのは113、97でしたが、(約320KHz間隔で沢山共振します)十字キャビティは すこし高めの114,1MHzに合わせ、RTCの入力回路のシリーズのバリコンもそれに同調をとっていました。それで、何度もESSが働きました。2004年の3回目の成功のときは113,7MHzにセットしていました。どちらの場合も実際にどの周波数でS字共振が起こったのか正確には確かめてありません。瞬間にESSが働いてしまうので分からないのです。いつの場合でも起こる間際には玉が反応を始め不連続振動などの気配が感じられました。また、受信機で聞いていると瞬間的にガリッガリッと音がします。前述したようにRTCで玉を刺激するわけですが、RTCのコアを励起するため捲いた単線コイルにシリーズに入っているバリコンによる共振周波数特性がキャパシティブのところで玉がよく反応するらしいことが分かりました。 23頁にあるシステム図ではCCFより(1)(3)系へケーブルでパワーが伝送されるようになっています。CCFはハイインピーダンスであり(1)(3)系のワンターンはローインピーダンスなのでそこに整合の困難があります。それで、(2)(4)系キャビティのエネルギーが二つのワンターンよりコンバインして(1)(3)系へ別の線路で伝送し(1)と(3)に分配する方式に変更することにしました。(08,3)

トロイダルコイルTCの右捲き左巻きの違いを試して見ましたが大差はありませんでした。バリコンを動かすと、どちらも同じように玉が共振反応を示すように見えます。
上掲の3番目の写真に出ているミニバリコンでは調節しにくいのでつまみで可変できるバリコンに改造しました。また、説明が前後してしまいましたが、玉の軸棒は真鍮のホルダー(中央にカーボンシャフトが通る穴を開けた真鍮製の板で各キャビティを中央で連結する)を通してからその上にTCをはめ込みます。この真鍮製ホルダーは玉の反応には必要のようです。キャビティが完全に閉じていないので(中央部の端面を離して)使用しているのでキャビティ同士の接触が必要のためとおもいます。そして、コイルにシリーズに入っているバリコンを動かすとき、その出力をプリアンプとRFアンプで増幅しCCFに加えると玉が共振反応を示すように見えます。単にSGのパワーをCCFに入れて十字キャビティを励振した場合はめったに玉は共振しませんが、TCを玉のベクトルポテンシアル的雑音の変換ピックアップコイルとして使用しその増幅したパワーをCCFに入れ十字キャビティを動作させると良く玉が反応するようにスペアナなどで観測できます。しかしこの場合は、トロイダルコイルTCにパワーが入らないので十字キャビティに新しい電磁波雰囲気(アイソ電波)が生じないのでキャビティに接続してあるケーブルを外したときレスポンスは通常の通り消えます。
TCにパワーを入れる場合とTCをピックアップコイルとして使いCCFにパワーをいれる場合も、どちらも玉は反応し共振現象を起こすようにみえます。しかし、何度も試すうちTCピックアップ方式だけでは、つまり、パワーがTCに入らないと玉は共振しないことが分かりました。ただ、TCにパワーを入れた場合は十字キャビティに発生する(2)(4)の位相が同相でなく逆相になったり(1)(2)が同相や逆相になったりで中々パワーモードになりません。しかも、不思議なことにTCによるレスポンスのレベルが日によって非常に気まぐれなことです。それでも何とか調整して何かの拍子にESSが働いた実績は多くあるのです。十字キャビティの真中から水晶にTCをとおしてパワーを入れたとき周波数がキャビティのそれと同じだとキャビティが共振します。また、同時に水晶玉が共振することもあるのでどちらかハッキリしない場合があります。水晶玉が共振するとキャビティの出力を検波して音を聞くとガリッっと聞こえます。水晶の玉の共振周波数付近には色々の共振モードが密集して沢山あるらしく、また、その共振周波数の瞬間的変化が激しいのが特徴です。キャビティもQが400くらいで、水晶のそれは一万以上と云われますからその引っ込み現象の動きは大分違います。TCをピックアップコイルとして使用し、その増幅した出力をCCFに入れて発生する信号はその周波数が不安定です。TCに付けてあるバリコンを回すと色々の周波数が不連続的にキャビティに発生します。その、信号をスペアナのmax hold 機能で集積すると大体十字キャビティの周波数特性に近いものになります。この過程で発生する信号は水晶玉が共振して発生したかと思うほど激しい動きをときどき示します。しかし、これはTCが水晶玉の共振性に影響されているだと分かりました。TCピックアップ方式で水晶玉をガラス玉を置き換えてみると水晶玉の場合とちがってあきらかに信号発生の動きが連続的で滑らかでキャビティだけで振動しています。繰り返しますが、RTC(同軸線も巻いたもの)にパワーをいれる場合は明らかに水晶玉が反応する共振をたびたび示しますが、そのとき発生する信号の位相がパワーモードでない場合が多いので中々ESSが働くことに結びつかないのです。軸棒がはずれなんとか、確実性を上げようと思うのです。TCピックアップ方式は玉のベクトルポテンシアル雑音をカーボン軸棒を通してキャッチ増幅しキャビティを振動させるとともに玉を共振させようと考えたのですが、確かに水晶玉の影響でキャビティに振動は発生するのですが、それが玉の共振振動にまで結びつかないようです。
前述したようにTCピックアップ方式はスペアナで見る限り球が反応しているのかどうか分かりませんが音で聞くとハッキリそこに違いがあります。何度もESSが働いた実績のある方法、つまり、CCFの雑音を増幅してRTCにインプットして玉の軸棒をとおして玉を刺激する場合ですが、RTCでなく単なるTCトロイダルコイルに変えても玉の共振で起こるカチッという反応音は発生するようです。やはり、同軸線も捲いたTC、つまり、RTCは効果があるようにも感じられます。大分迷っています。しかし、玉の反応は何度も述べたように気まぐれなところがありまた変わるかもしれません。(08,4,26)

振り返ってみて、この研究は方式が段々複雑二なり過ぎたきらいがあります。原点に立ち返って見直すことにしました。1998,11,4の第一回のS字共振成功の方式に戻り、その後の研究で得られたノウハウを注ぎ込むのを試したくなりました。その当時はインピーダンスマッチングなど念頭になく各キャビティのレベルと位相関係だけを考えていました。
キャビティに付いていたESSへのケーブルと測定器類へのケーブル類を除き他は総てはずしました。(3)にソレノイド式プランジャー安全装置を再びつけてESSが働いたときキャビティの中心電極をショートしてS字共振を止めて測定器を保護する方法に戻しました。スイッチを(1)にしてSGを増幅してからアイソレーターを通してCCFへ入力。そして、(2)(4)系を同相に調整します。(1)(3)系も同じ。つぎに、TCを玉の上に設置してTCピックアップ方式としてその出力を増幅してCCFに加える。スイッチを(2)に切り替え各キャビティ間にあるシールド板をデジタル回転計を一回ずつ回して玉の反応共振を確かめながら増やしてゆく。一方、SGを増幅した出力をCCFに加える。 この方法はシールド板と玉のギャップで各キャビティの結合をコントロールするからギャップ法と云うことにし、一方、シールド板はピタリと玉に接してキャビティ間の結合はケーブルでとるのでそれをケーブル法と云うことにします。
ギャップ法はすでに過去何年も模索実験を繰り返してきた経験がありますが、成功例は極めて少なく1998 1999 2004年の3回のみです。ケーブル法は2005より始めた方法で、2007年には10回位ESS作動に成功したので良い方法とは思いますが、この実験中開発したパワーモードの位相特性が出るTCピックアップ方式をギャップ法に応用して見たくなったのです。試みたら大成功? TCピックアップ方式はケーブル法では中々玉が共振しないが、ギャップ法にTCピックアップ方式を応用すると(1)(3)系のレベルが(2)(4)系より低いが、 SGからも1ワット以上のパワーを平行して加えてみたらどんどん玉がパワーモードの共振をするように見えるのです。(08,5,17)
現在の方法はTCピックアップ方式にもう一個のTC2を上に重ねた方式です。TC2を玉の下側の反対側からセットしてはというアイデアに気付きました。上のほうに2個重ねてセットするとそれ同志が干渉して発振信号の位相特性が良くないからです。しかし、玉の下側にはCCFがあるので邪魔になり不可能です。思い切って現在のCCFの入力方式をやめ(2)(4)の両ワンターンにSGのパワーをコンバイン入力することにしました。そしてキャビティの下側のCCFを外しました。玉の軸棒の下側にもカーボン棒を立てそれにTC2を貫通することにしました。
TC1からピックアップしアンプした出力を下のTC2に入力してみた所よい位相、パワーモードに近い特性で玉が共振振動を瞬間的にしたように見えました。
2つのTCだけで十字キャビティに信号が発生しているのです。しかもS字共振に近い位相パターンです。ケーブル法では、対抗キャビティに同相信号を入力するためにSGからケーブルをつなぐためキャビティに電気的負荷を与えています。これを外してもS字共振に近い信号が発生したことは面白いと思います。(5,21)
しかし、繰り返して実験してみるとTCだけではやはり発振周波数が不安定で、キャビティにもSGの増幅出力をいれたほうが安定します。この2TC方式で同相の信号が発生するが同時に玉が共振すればよいですが色々試した結果、TCに付いているバリコンをTC1は同調、下側のTC2は容量性にすればよく玉が共振することが分かりました。ひょっとすると上下2個のTCだけで、キャビティにSGのパワーを入力せずにS字共振を発生出きるかも知れません。玉が同相で共振すると(1)(3)系と(2)(4)系を観測しているオシログラフに瞬間的に同相を示す/のパターンが、(1)と(2)の位相は90度ずれを示す○のパターンを示します。
しかし、それより進みません。それでキャビティへのラインを整合しましたところ一旦は進歩が見られ玉がよく反応するように見えました。ところが、小休止して実験を再開したところ玉がほとんど共振反応を示さないのです。これが、水晶玉の不思議な性質でまるで生き物のようにご機嫌斜めになってしまうのです。このようなことは今まで何度も経験していますが、水晶玉を研究する人はかならず経験することだと思います。従って、今の方法が良いのかどうかが分からず、間違った方向に進んでしまう恐れがあります。
そもそも、この実験はキャビティの振動状態が玉の振動形式と一致すれば共に共振しあって目的とするS字共振になると見込んでその模索実験を始め、何度か成功したのですが絶対的な方法が未完の状態です。TC1ピックアップ方式でその発振出力を(2)(4)系に分岐入力するのだが位相関係は理想的だがこの方法は目的の共振周波数はいつも避ける傾向がります。やはり、周波数が決まったSGのパワーも補助的に入れるのがよいと思います。19ページの回路図ではCCFよりの雑音の増幅パワーをRTCに入れていますが、この方法で発振する位相状態は理想的な同相でなかったが何度かS字共振に導くことができたのは貴重な経験で、TC乃至TCRにパワーを入れて玉をベクトルポテンシアル的にあちら側から刺激することが大切とわかりました。この経験を生かし(2)(4)系のワンターンをコンバインしピックアップし増幅したパワーをTC1に入れてみることにしました。
image074記録をしらべると、07,12、17より三日間、に先端の直径を1,6ミリにした極端に狭い面積の電極(電界が玉の内部を通る様この形を考えた)を用い数回ESSが働いた記録がありました。玉は、普通、電極の凹みで四方から支えられているが、これではそれが無理なので径6㍉のテフロンの棒に1,6 ミリの穴を明けそれに凹みをつけて玉を保持するようにした電極です。これを作った目的は玉の中を通る電界を強くするためでした。その時の回路はギャップ法でなく23頁の図に示す方法でCCFより(1)(3)系へケーブル法で両キャビティ間の結合の整合をとっていました。このときは、RTC(同軸線捲きトロイダルコイル)でなく単なるTCで成功したのでその方に注目が集中しこのテフロン保持電極のことは忘れてしまっていました。このテフロン電極をつけてギャップ法でキャビティの結合を取ろうとしたとき電極の隣同士のキャパシティが少ないので、テフロンの周りを真鍮で囲む電極構造に改造することにしました。(6,29)
しかし、このときの成功は(2)(4)系のCCF(セントラルキャパシティブフィーダー)と(1)(3)系をハイブリッドコンバイナーを通してケーブルでつないだ方法でS字共振が起動しています。しかし、このケーブル法はパワーが長時間取れないから先ずそれで起動してからギャップ法に切り替え、ケーブルの負担を軽くするシステムが良いのではないかと思うようになりました。
最近(2)番のキャビティのレスポンスがひどく低いので、各キャビティのQを簡易な方法で調べたら(2)番がひどく落ちていることが分かったのでその原因を調べたところ付加キャパシチーの絶縁のテフロン部分の汚れが原因で500ボルトのメガーでショート状態。ついでに4本ともこの際清掃。また、この際今までの真鍮製中心電極パイプに不具合な部分があったので新たに作り直しました。 玉の共振現象はキャビティの漏れ電波をダイオードで検波増幅しスピーカーで聞いています。これで玉の共振による音と、共振回路同士の引っ張り現象で発生する音との激しさの違いがあり一つの目安にしています。

image076SGパワーで玉を共振させる回路で試した結果なかなか良いパターンで玉が反応することが分かったのでその回路を示します。
(2)と(4)のワンターンをコンバインしたところにSGパワーをつなぎその先をストレッチャー(位相を調整する為)を経てTC1とTC2にスプリットして加えます。
そして、SGパワーを5ワット以上加えた状態で TC1とTC2に付いているバリコンを回すと玉の共振周波数に対して共振振点、あるいは、容量性の状態で玉が共振反応を示しスピーカーがパチンパチンと鳴ります。これで試した結果TC1をRTC、つまり、同軸線も一緒に捲いたトロイダルコイルがさらに玉を良く反応させるようです。同軸線によって玉に加えるベクトルポテンシアルにひとつの方向性をあたえるためかと思われます。ともかく、この回路は玉が良く反応するのでノーコート玉にカーボン軸棒を接着しTCで試してみたところ意外と共振反応をしました。今まで幾度かノーコート玉を十字キャビティに装着し共振を試したことがありますが全く駄目だった記憶があります。改めてカーボン軸棒とTCによる玉の刺激力を再確認したわけです。
(11,5) 今日実験で大切なことに気付いた。上下に軸棒を付けたコート玉で、上の軸棒に付けたTCをアンプにつなぎその出力を下の軸棒につけたTC2に加えると発振するが、そのとき玉の水平面を回転するとよく共振するところがありS字共振の共振周波数を確定できる可能性があるのではということです。しかし、再実験では不確かでした。再々実験でもうまく行かず。
二つの共振コイル」回路が(磁気)M結合されているとき二次回路に誘起され流れる共振電流のカーブは結合が強くなるにつれて頂上のとがった部分が平らになりさらに強くなると双峰性になります。この平らな状態の結合が臨界結合Kcで一次回路のエネルギーが最高の効率で2次回路に伝えられます。(2)(4)系キャビティと(1)(3)系キャビティ間の結合も共振回路の結合で、(2)(4)系キャビティの磁束密度の最も高い位置に置かれたワンターンに誘起された電流がコンバインされ、ケーブルでスプリッターを通して伝えられ(1)(3)系ワンターンに加えられる訳ですから一種のM結合といえます。従って臨界結合Kcを求めるためには磁束を切るワンターンの面積が重要なファクターです。しかし、臨界結合Kcかどうかを決める基準が難しいところです。インピーダンスマッチングがとれたところがKcらしい。
従来、キャビティに装着しているワンターンはすべて同じサイズでBNC BRコネクターを利用したものです。
キャビティの最も磁束密度の高い閉回路に近い位置にこれを取り付けネジを回転し磁束を切る面積が可変で便利です。大体最高の位置で固定しています。上部の図に示すCCFもキャビティへの結合度が可変で、この結合度がワンターンのキャビティへの結合度より10db位高いときにESSが何度も働きました。(2)(4)系のワンターンから(1)(3)系のワンターンへのケーブル結合にしてから一度も働かないのは結合度不足の為と思われます。それで、ワンターンでなく2ターンのコイルをBNC BRに取り付けることにしました。これで、(2)(4)系と(1)(3)系とも電圧は倍になり結合度は十分とおもいます。
今日までの経験では、玉の軸棒に通したTCにエネルギーを加えると玉が共振することがあることが分かっています。しかし、これがS字共振にまでは中々進行しません。S字共振は今まで経験した数は数えられる程度なので、まだ、確実にこうやれば必ず起こるという方法は分かっていません。S字共振というのは、このモードの共振周波数でエネルギーが玉の中をぐるぐる回る状態と思います。十字キャビティを(2)(4)系と(1)(3)系がそれぞれ同相で共振して互いに90度ずれる状態は調整できますが、このときエネルギーは回転していません。この状態はエネルギーが逆方向に打ち消しあいながら回っている状態とも考えられます。丁度単相2極のモーターで磁界が右回りと左回りと両側に回転し、回転子が回転を始めない状態に似ています。隈とり線輪や分相起動コイルでバランスを変えることで起動するのと似ています。今までの現象は偶然のバランスの乱れで起こったのでスタートしたのかも知れません。S字共振では、エネルギーが上からみて右なり左なりに回る状態であると思います。そのとき、電界は水平面を回るのでポイティングベクトルは玉の中を一方向に回るので、磁界が垂直の一方向に直流磁界として現れる筈です。ガンマ線がミクロ空間に閉じ込められ回転することで電子創生となりそこに磁気モーメントが現れるようなものです。従って、予め垂直方向に直流磁界をかけておけばS字共振を誘導しやすいのでは?とテストを始めました。玉の直径より少し大きく、カーボン軸棒が通る穴のあいた、丁度、キャビティの中に納まるフェライト磁石が入手できました。これで、玉の中の垂直方向に磁束密度700ガウス位通すことができました。その方向性については注意が必要と思います。あとは、玉の共振のキッカケを作ることと思います。このフェライト磁石のアイディアはなかなか思うようには行かず止めました。image078要するに、(2)(4)系のパワーを次の図のようにコンバインして可変長同軸管ストレッチャーを通してまたスプリッターで分けて(1)(3)系に加えるのですが、この方向の流れにキッカケをつくることが大切なのでアイソレーター(TDKのヘキサレーター)を入れてみました。アイソレーターは一方向に逆方向より30db位差があるので良いと思います。ただ通過パワーが大きいので壊れる恐れがありますから、ESS作動時に別回路に切り替える必要があります。
   また、(2)(4)系のワンターンに誘起する電圧のほうが(1)(3)系に誘起する電圧より大きいほうがその流れを強くする傾向が考えられます。23ページの図の回路は(2)(4)系のCCFに誘起した電圧を可変長同軸管を通して(1)(3)系のワンターンに位相を調節して加えられていますがこの回路で何回もESSが作動したのはこの電圧差が効いたのかもしれません。ただ、このESSはギャップが非常に狭いので振動で変わりやすい欠点があるので今のワンターンからワンターンの方式に切り替えたのです。しかし、中々ESSが動作せず、悩んでいるのですがワンターンに電圧の差を取ればこの問題は解決するかも知れません。(09、3,2)
 水晶球に付けたカーボン軸棒はトロイダルコアの中心を貫いていますが、コアに捲いたコイルと直列のバリコンの変化でその共振周波数をキャビティの共振周波数と一致できます。そのコアに別にワンターンを捲きその出力を増幅し上の図のようにキャビティのワンターンにコンバインして印加し、同時に下側のトロイダルコイルにも印加するとキャビティはS字共振のパワーモード、つまり、 (2)(4)系の同相 /パターン (1)(3)系の同相 / (1)対(2)の90度のずれ○パターンに近いモードで発振します。このとき、上下のTCのバリコンの操作で発振する周波数が水晶球のパワーモード固有振動数と一致するとS字共振に発展すると思うのです。水晶球はパワーモード以外の共振周波数でも共振するようです。image080可変長同軸管ストレッチャーの回路にクロスニードル型のSWRメーターをいれて両側への整合をスタブを用い26ページの図の回路で調整すると(2)(4)系と(1)(3)系の両キャビティ系がケーブルで結合整合された状態がえられます。あとは水晶球のパワーモードの共振周波数とキャビティの共振周波数が一致すればOKと思うのですが。
しかし、いくらやってもS字共振に発展せず悩んでいます。トロイダルコアで玉を刺激する場合トロイダルコアの共振回路に玉の共振エネルギーが吸収されてしまうのが原因ではと思いました。トロイダルコアに同軸線を捲いて打ち消し合い効果を期待したわけですが、単線で打ち消しあいの巻き方がある筈と考え工夫して見ました。一回捲いては一回捲き戻す方法でトロイダルコアに単線を捲くのです。これを試作して共振周波数に近い電流を試した結果玉が反応するらしいことが分かりました。(09,3,25)
π捲きTC1と命名することにします。写真のようにシリーズにバリコンをつけるとその変化で不連続現象で玉が共振するような雑音電波が聞こえますが、確証はありません。現在その雑音が何処から発生しているか考えています。(09,3,27)
 上部の図の場合は(2)(4)系に中心電極にCCF電極 を通して信号が加えられていました。
この回路で度々ESSが働きましたが、CCFは(2)(4)系の先端電極に極めて近く接近しているので不安定でした。その不安定な欠点を避けるためケーブルによって信号を加える現在の方式に切り替えたのですが、どうしてもケーブル結合法では一度もESS が作動したことがありません。CCF方式で成功したときは、CCFによる(2)と(4)への結合度はワンターンのそれより10db近く強い結合差がありました。現在(2)と(4)は上部の図の様にコンバイナーを通じてケーブルで結合されていますがこの(2)と(4)同志の結合度もCCF方式に比べ弱いと思います。(2)(4)系をつなぐコンバイナー自体が(2)と(4)の間にアイソレーションを持っているので単なるJJJコネクターに切り替えて見ます。(09,3,28)
 JJJコネクターは全く駄目かえって両系の差が大きくなる。今のままでシールド板を僅か広げて両系の差を補う方法はどうだろう。主体はケーブル結合のままで。
 この方法で確実にアンバランスを解消でき殆ど真円に近い状態が出現できた。  (3,30) あとは、玉を刺激してパワーモードの共振周波数で共振現象を誘発し、その周波数にキャビティの共振周波数を合わせるだけである。それには、上部の図のように片方のTCから増幅した信号をもう片方のTCに加えるとともに分岐して(2)(4)系に印加する。
或いは、(2)(4)系の雑音信号をコンバインして増幅し両方のTCに加える。これは、23ページの図のよう(2)(4)系の雑音をCCFより得て増幅し(1)(3)系のワンターンに分岐して加えた方法に近い。使っている玉はL2と名付けている玉で何度もESSが働いた実績がある。ただ、軸棒が外れて付け直した際、位置が微妙に狂ってしまった可能性がある。
どうしても、ESSが働かなければ、コーティングを剥がし位置を決めなおさなければならない。軸棒の位置は極めて大切な条件と思う。
 玉の軸棒の位置が狂ったと思うので基礎からやり直すことにした。
 玉のコーティングを剥がし12頁の共振周波数測定器に1000HzでFM変調された信号を掛け対向電極につけた検波器を通しその出力を1000Hz増幅器に入力しその出力の振幅の振れのピーク点で玉の共振周波数を探るのである。FM信号に範囲で玉の共振周波数があればAM信号が現れその信号を増幅しそのレベルを電流計で検出するのである。即ち、軸棒の位置が正しければ共振周波数がレスポンス最大で感知できるわけである。理屈はそうだが使用しているSGのFM信号にAM分が混在するのでハッキリ分からない。以前持っていたSGは非常に良かったのでハッキリ区別できたがそれが毀れてしまい今の手持ちのSGでは寄生AMは多くて分からない。FM信号の寄生AM信号を除去する装置を作ることにした。
 つまり、FM信号のプラスとマイナスのピーク部分両方をダイオードでカットすればエーエム分は消えると思うので試作した結果はダメ。カットしてもされないところにAM分が残ってしまうから同じことである。SGの蓋を開けてFM回路部分の調整ネジで、ある程度FMに寄生するAM分を減らすことに成功した。が、この問題はいくら努力してもシセサイズドのSGではAM分は中々へらすことは無理とわかった。アナログの発振器でないと駄目なことが古いノートを見てわかた。以前、成功したとき使用していたのはアンリツのMG645Bでこれはシンセサイズ方式ではない。それでFM信号のAM分が極めて少なく(-80db)水晶玉の高次の共振周波数をはかることができたのである。シンセサイズドSGのFMでは玉の共振周波数の検出が混入AMに消されてしまい測定不可能である。オークション市場でアンリツのMG645Bを見付け購入できた。AM変調は不安定だが幸いFM部分は正常に働くことがわかった。周波数カウンターもやはり不安定だが別のカウンターで見ることにした。話は別になるが、今度、古いノートを調べて驚いたことを発見した。S字共振が最初に成功できたのは1998年11月4日とばかり思っていたがその一年近く前の1997年12月13日にも同じ現象が起こっていた。このときは、総ての測定器にダイオードの安全器を装着してあったのでS字共振ではないのかと思ったが確認の方法がなく忘れてしまったのである。その翌年の11月4日のときは一台のオシロスコープの安全装置を忘れたので第1段の増幅トランジスターが焼けてしまいS字共振成功を確認したわけである。
 玉の共振周波数を測定し軸棒を接着したのは1996年頃である。1000HzでFM変調した信号を玉に加えて玉の共振周波数がFM信号の範囲にあるとき1000HzのAM信号が現れるのを利用して検出したわけだが、そのときの増幅器は中古のHP製のSWR測定用の1000Hz専用のものでゲインは60dbあった。この装置は未だ持っているが切り替えスイッチが駄目で雑音が多く具合が悪い。それで、オペアンプで新しい増幅器NF回路ブロックの5307差動増幅器を購入する。これでも増幅度不足でフェライト 1000Hz共振回路を持ったプリアンプをつくる。